悲しみの舞華(まいはな)


「あ〜、2日ぶりだね!」



春、声でかいよ。



「そうですね」



私は作り笑いを顔に
貼り付けた。



完璧な作り笑い、
これを見破れる人は
いないだろう。



「タメ口で良いって〜」



「う、うん」



「だれ〜?」



そう言ったのは美優。
私から全てを奪った
あの憎い女だ。



「土曜日に蓮兎たちがいないとき、猫が来たんですけど、その猫…えっと、クゥちゃん?でしたっけ」



「はい、そうです」



「クゥちゃんの飼い主さんです」



「そうなんだぁ〜」



「本当にあのときは
ありがとうございました」



「良いんだよ〜!」



「そうですよ」



秋も軽く頷いてくれた。



「美優その猫ちゃんに
触りた–––い。」



「今、いるんです。あれ?」



クゥちゃんが私の後ろに
隠れていた。



それを美優が見つけると
触ろうと思って手を伸ばしてきた。



「あ!ダメです!」



私は、クゥちゃんと美優の間に
手を伸ばした。



ガリッ!


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