初めての相手は無愛想上司


『本当に出張?』
『金曜の夜、な一緒にいた女の人は誰?』
『“櫻庭沙夜”って誰?』


聞きたい、聞きたいけど聞けない
聞いて小山課長からの別れを聞きたくない



「どうした?」


『…あの、』


もう、どうしていいかわからない
「なんでもない」結局いつもこれだ


月曜日、火曜日…いつもと変わらない
テーブルに置いてあった本やカタログ
小山課長は無くなったことに気がついていないのか全く触れてこない

気にならないのだろう
それは興味がないからだ




「マリッジブルーなのか?」


水曜日の夜、突然言われた言葉に
身体が固まってしまった

忙しい時期が終わり
帰ってくる時間も早くなり
食事を済ませ、食器を洗っている時だ


驚いた反動で手から皿を滑らせてしまった
慌てて割れた皿を集める


『痛っ、』


指先を切ってしまい赤い血が流れた
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