一般人でも勇者に・・・
プロローグ なにこれ?
「ああー。くそっ!!堕ちねぇ!ああ!もう!」
ある夏の始めに発売され、買ったはいいけどそのまま放置していた3DのRPGゲームが5ヶ月たっても人気があるということでやってみることにした俺だが、なかなか難しく、気づけば冬の終わりくらいまで続けていた。 それから約1ヶ月。現状に至るのだが、ただいま少し難しいクエストに熱中していて、このクエストやり始めてから6時間たった今でもクリアできる気配が全くない。過去最高に難しいかも知れないのだ。 なんてったってクリア条件があるドラゴンの宝玉入手でクリアなのだ。しかもそのドラゴンの宝石のドロップ率は約3%とまでいわれているかなりレアなアイテムなのだ。(普通は約10%)
「漣(れん)ー。朝だから起きなさーい。」
下の階から母親の声が聞こえた。
俺の名前は三笠紀 漣(みかさき れん)
という。1ヶ月後から高校三年生だが、未だにクラス内の友達はいない。理由はわからないが、皆俺を見るや、逃げるように離れて行くのだ。 不思議なこともあるものだ。
「早く用意しないと、美野(みの)さんが来ちゃうわよー。」
「わかってるっての!」
美野さんとは、唯一俺を見ても逃げようとしない一つ下の後輩のことだ。 ちなみに、本名は美野 由(ゆかり)といい、女性である。しかもかなり、可愛いのだ。学校でも5本の指に入るくらいの人気もあるくらいだ。
どうして、そんな子が迎えに来るかって?
そんなことわかるわけがない。
別に幼なじみっていうわけでもないのだが・・・わけがわからない。
「せんぱーい! あっさですよ~!!」
「っぎゃふん!!」
居間に行こうとして、扉を開けるとそこには、あの可愛いといわれている後輩が待ち構えていたらしく、開けるのと同時に飛びついてきた。  
「ってか、母さん! 何で由がもう来てんだよ。」
「いやー、だってね。未来のお嫁さんの頼みだったのよ。  しかたないじゃない。」
「もう、お義母さまったら。」
ああ、早く良い病院を探したほうが、よさそうだ。
俺は、本気でそう思った。
「・・・ところで由。何時から来てた?」
ちなみに、今は朝の7時過ぎだ。
「はい、そうですね・・・。だいたい、6時位ですかね?」
何で来てんだよ。  知るかよ。
「なぁ、早くないか?」
「そんなことは、ありませんよ。早起きは、三問の得っていいますから、4時起きは、早い内に入りません。」
いや、十分早いよ!ってツッコミたくなった。当たり前ではないだろうか。
俺は、本気でそう思った。
「それよりも、2人とも朝ごはん食べなきゃ遅れるわよ。」
さすが母さん。話しの切り替えがとても上手い。
それと、なんで由が一緒に朝ごはんを我が家(うち)で食べることが普通になってんだ?
まぁ、いいか、とりあえず今何時だ?
俺は、テレビの右上についているデジタル時計を見て、驚愕の表情に変わる。
「なんでもう、7時半過ぎなんだ!なんで、あれから、もう早30分が、過ぎようとしてんだよ!!」
ああー、時の流れってなんで、こんなに早いんだろう。
「先輩、急がないと、遅れますよ。」
「んなこたぁー、わかってる! 母さん、行ってくるわ。」
「はい、気をつけてね! 美野さんもね。」
「はーい。行ってきまーす!」
ああ、なんて朝なのだろう。こんな、全力疾走して、学校にいかなきゃ、いけないなんて。酷い朝だ。
そして、昼休み。
「ん、あれ? 俺弁当どうしたっけ?  あ、そういや朝持たずに、出てきちまったな。  やらかしたな、こりゃ。」
「どうした、漣。弁当でも忘れたか?」
後ろから突然、聞き覚えのある声がしたので、振り返ってみるとそこには、悪友がいた。
「お、柚佐木(ゆざき)か。どうした、お前隣のクラスだろ?」
柚佐木 光(ゆざき こう)。漢字では、ひかりと読むがなぜか、やつの名前は音読みでこうと読む。 そして、この学校一の問題視されている輩でもある。
「そうだが、ちょいとお前に話があって呼びに来たんだ。  ちょっとこい。」
そのまま俺は、やつに、連行された。
「んで、どこまで連れてきゃ、気がすむんだ?」
「もうちょいだ。  ほら、あそこだ。」
連行されて、約5分。引っ張られやってきた場所は、生徒会室だった。
「おい、なんで俺はこんないやなとこにつれてこられなきゃいけ・・・」
「ご、ごめんなさい。いやでしたか?  先輩。」
ああー、なんでこいつが、      
あ、そうだった。こいつ生徒会副なんだった。うっかりしてたぜ。 ということは、なんで連れてこられたのかという疑問が解消されるな。
「はい、お弁当。朝、忘れてたでしょう。」
やっぱり。
「あー、悪いな由。  ありがとな。」
俺がそう言うと、由は、表情を明るくして、うん、と頷いた。
こういうのは、俺も可愛いとは、おもうのだが、あさのあれはな・・・。
「どうしたんですか?先輩。ボーッと私を見つめて。   はっ!先輩ついに!」
「ついに!ってなんだよ。」
「私のことを!」
「うーん・・・。」
ここで下手に傷つけると、後々辛いので、由に聞こえないように、俺は唸った。
そして、昼ご飯を食べ、午後の授業が終わり、放課後。
「先輩帰りましょー!」
なんなんだろう。帰りの、HRが終わり、教室の引き戸を引くとそこには、本を片手に立っている由がいた。
「どうしたんだ? なんでここに由がいるんだ。」
おかしいなー。夢(悪夢)でも見てるんじゃないだろうかと思うほど、俺は嫌だった。別に、由が嫌なんではなくて、後ろから投げられる物たちが嫌なのだ。
「・・・帰ろう。」
「う、うん」
なんで引いてんだよ!言っとく(言わない)けどお前のせいだかんな!
「せ、先輩。に、人気なんですね。」
おいおい、どう見たら、そんなことが言えるんだよ。
「ちぇっ!」
だから、学校って嫌いなんだ。 
そして、家に着いて。
「はーい、美野ちゃん。麦茶だけど、ゆっくりしていってね。」
「あ、ありがとうございます。では、お言葉に甘えまして。」
一つ良いだろうか。なんでこいつは、俺についてくるんだ?  もう、無視するしかないな。
というわけで、俺は早速パソコンを開いてゲームの続きをする。
そして、一時間位が経って。
「なんで、出ないんだ、これ。先進めないじゃん!」
「あ、先輩。まだ、こんなとこだったんですか。 私今家に帰って手伝いますので、ワールド開いといてください。」
由、こんなとこってひどくないか?俺だって好きでここにいるわけじゃないんだぜ。
宝玉とりを始めて約8時間。くる気配なし。
「こりゃ、運営に文句つけとかなきゃな。」
俺は独りそう呟き、運営に文句をつけた後、由に言われた通りにワールドを開いて待った。ワールドを開いて間もなく、我が悪友がワールドに入ってきたのは、驚きだった。それから約10分、やつと2人でやっていると、由も参戦してきて、俺ら3人は、日付が変わり朝の2時までやりこんだのが、俺に宝玉はこなかった。
さすがに皆疲れたのか、その後はすぐに解散した。
そして、次の日(正しくいうと今日にあたる)俺は、いや、俺らは、ゲームの更新がされた瞬間に、意識不明の重体となった。
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop