Hell・God


「う、うあああああああ」


誰かが悲鳴をあげた。


エメリヒと同期の、フリッツだ。


悲鳴と同時に大きな銃声がなり、フリッツはその場に大きく倒れた。


エ「フリ――――!」


ラ「黙れ!死にたいのか!」


ラファエルはエメリヒを連れ、走り出した。


銃声が聞こえるたび、部下たちが倒れていく。


そのたびに、エメリヒは振り向こうとする。


ラ「振り向くな、走れ!」





どれだけ走っただろうか。


人気のない、荒れ地までやって来た。



エ「…全て、無意味だった」


ラ「ああ。」


エ「無駄に人を殺し、無駄に人を失いました…」


ラ「そうだ、な…?」


エメリヒの遥か遠くの後ろに、誰かいる。


ラ「お前は誰だ!?止まれ!」


だが、その人間は止まらなかった。


ラファエルはゆっくり、腰の銃に手をかける。


そして、目が合ったとたん―――



エ「あ……!」


ラ「エメリヒ!!」


「…弱い人間め」



ザシュッ


エメリヒの胸から、血が噴き出す。



―――速い。


速くて何も見えなかった。


なにが、起こったんだ…?


ラファエルは、混乱した頭で考えた。


あの数秒で、エメリヒを殺した。


こいつは、一体………



「…お前、強そうだな」


ラ「…」


「強いやつは好きだ。俺と手を組もう。」


ラ「俺になんの得がある。…殺せ。さっき、エメリヒを殺したみたいに」


ラ「もう、生きるのに疲れた。だから、殺せ…!」


謎の人間は、ラファエルを見下した。

なぜだ、と言わんばかりの目。


そこでラファエルは倒れた。

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