Hell・God



くぅ「地獄…谷?」


ミ「なにをするところかと言うと、鍛練ね。」


くぅ「鍛練、ッスか」


ミ「そ。ブラッド様もよくここに来てるらしいよ。ブラッド様を一目みようと毎日来てるのよ、私。」


ブラッドってケッコーモテるんだなぁ…


くぅ「好きなんスか?」


ミ「へ!?ち、違っ、、、///」カァァ


ミラは顔を真っ赤にし、かぶりを振る。


くぅ「じゃあ今度紹介するッスよ」


ミ「えっ、ホント!?ついでにノアちゃんも!」


くぅ「はいはい」クスクス


ミラの明るさには本当に救われる。


あ、そうだ、阿修羅に会いに来たんだった


ミ「あっ、阿修羅様はあっちにいるよ、ほら!」


ミラが指を指した先には――




指を指しているのは分かる。ていうかその指している先に何も見えない。


くぅ「なにもないッスよ?」


ミ「えっ、嘘。いるじゃん、あそこに」


くぅ「むむむ…」


目を凝らしても、擦ってみても、瞬きしても全然見えない。


くぅ「とりあえず進んでみる…ッス」


とりあえず進む。







道が長い。これ、どこまで続いてるんスか?


くぅ「あ、いたッス!」


阿「お、くぅ!どうしたんだ?」


いた。ミラってどれだけ目がいいんだろうか。

ここまで来るのに300メートルはあったはず…


閻「あっ、こいつは…」


くぅ「あっ、閻魔様じゃないッスか!」


閻「…ミラか、連れてきたのは」


ミ「う''…何か悪いことしましたか…?」


閻「…はぁ」


閻「貴様、なんの用だ」


くぅ「阿修羅に用があって来たッス。」


阿「オレに?」


くぅ「ッス」


阿「父ちゃん、ちょっと席外すわ」


閻魔様は少し呆れた表情で、「おう」と言った。



阿「んで、用件は何だ?」


くぅ「ノアの過去を知りたいんス」


阿「…なんで?」


くぅ「過去の話を聞かれて、ノアがちょっと落ち込んでたみたいで…ヨシュアに聞いたら、阿修羅が知ってるって言ってたんで」


阿「分かった、よくここまで来たな。教えてやるよ、ノアの過去。」


阿修羅はすぅ、と息を吸う。そして、まっすぐとこっちを見た。


阿「…ノアは、とてつもなく金持ちだった。」


阿「家は大豪邸で、メイドだってたくさんいたらしい。でも…」


阿「道を歩く老人の手助けをしたり、電車の席を譲ったり…自分が金持ちなのを鼻に掛けない。いいやつだったんだ、とにかく。」


阿「なにより、毎日―」


神社でお祈りしてたんだ。


神社?僕は聞いた。


神社だ。阿修羅は答える。


あの日は、満月だったかなぁ…

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