俺様上司と身代わり恋愛!?


「一途にもほどがあるだろ……。そんな男相手に従順になってどうするんだよ。もっと相手を選べ」

「ですね」と、本当にその通りだなぁとへらっと笑う私に、課長がシワを寄せたまま続ける。

「そういう事情で、きちんとした男に飢えてるって言ってたのか……。うちの社内にはいないのか? 金融業だし、社内規則が厳しいぶん、みんなそれなりにきちんとしてるだろ」
「そう……ですかね?」

なんとなく素直に頷けなかったのは、元彼も社内の人間だったという事と……目の前の課長が原因という事は黙っておくとして。

「誰かいいやついないのか」と聞いてくる課長に、うーんと唸りながら視線を右斜め上に向けた。
そして「ああ、志田さんとか」と名前をあげる。

「志田? 融資課の?」
「はい。なんか社内で人気みたいだから」

私の答えが意思とか気持ちの籠っていないものだったからか、課長の眉間のシワがまた増える。

「おまえはグロスといい男といい、周りの意見が基準なのか」

呆れたように言う課長に、運ばれてきたコーヒーを飲みながら答える。

「グロスは確かにミーハー気分ですけど、男は違いますよ。
なんていうか、私が選ぶ人って思い返してみるとみんなダメだったんです。だから人気がある人なら確実かなっていう、今までの人生から学んだ結果です。統計を信じるべきかなって」

きちんとした検証の結果だと言うと、課長が「みんなダメだった元彼って?」と聞くから、説明する。

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