俺様上司と身代わり恋愛!?
「私の事、嫌わないでください……」
不安から眉を寄せて必死に見上げて言うと、課長は驚いた顔をした後、それをくしゃっと歪めた。
まるで、何かに耐えるように。
そして、私の頭にポンッと手を乗せ「昨日言った事なら、忘れろって言っただろ」と言う。
「あれは……ただの八つ当たりだ」
八つ当たりって、一体なんのだろう。仕事の事だろうか。サンウェルさん?
そんな風に思い、聞き返そうとしたけれど……。
課長の真っ直ぐな眼差しに気付いて、言葉を失う。
初めて見るような真剣な眼差しに何も言えずにいると、課長はしばらく私を見つめた後。
「おまえを嫌いにはならない」
私の頭をくしゃっと一度撫で、ハッキリとそう告げた。
この時。
嫌いにならないで欲しいと課長を見上げた自分の表情が、志田さんを好きだと私に告げた時の高橋さんと同じ表情をしていたと私が気づいたのは。
もう少し後になってからの事だった。