俺様上司と身代わり恋愛!?
「私、桐崎さんのお見合い相手よ? 桐崎さんのお顔は写真で拝見させて頂いてるし、それに、桐崎さんの連絡先だって知ってて当たり前じゃない。
お父さんからはこまめに連絡とりなさいって電話番号もメールアドレスも聞いてるんだから」
「あ……なるほど」
「だからさっきメールしたの。ゆずが今日、同じ会社の元彼に待ち伏せされて強引に誘われてたって。
ほら、やっぱり心配じゃない。しかもメール送ってきたりしてまだ諦めていないみたいだし。
だから、今日は私が帰り送っていきますけど、明日から会社で少し気を付けて見て頂けますかって」
「そしたら、ほら」と見せられたスマホの画面には、課長かららしいメールが開かれていた。
〝早乙女様。初めまして。桐崎です。わざわざ連絡ありがとうございます。
そういう事情でしたら私が今からそちらに伺い、茅野を引き取りますので、もうしばらくそちらでお待ち頂ければと思います。
ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません〟
私がメールを読み終わったのと同時くらいに、美絵が「桐崎さん、優しい方なのね」と笑い……事態の把握ができないうちに、テーブル横に課長が立った。
見上げると、課長は美絵を見て言う。
肩で息しているところを見ると、走ってきたのだろうか。
見ればネクタイも少し緩めている。
「早乙女さんですよね。先ほどはメールで失礼しました、桐崎です」
「初めまして。早乙女です。こちらこそ突然のメール失礼しました。
しかもわざわざ来ていただいてしまって……」
「いえ。茅野は私の部下ですし、それに、相手が男ですから何かあった時、私の方がまだ対処できるかと」
「それもそうですね。では……私はこれで。ゆずの事、よろしくお願いします」