俺様上司と身代わり恋愛!?


高校一年を皮切りに今までずっと、告白されて、じゃあって付き合いだして、結果いいようにされて……の繰り返しだ。
悲しいほどにそれのみを、隙間なくループしているから、元彼の数だけで言ったら結構なものかもしれない。

付き合っている間は、もちろん好きって気持ちもあったけれど……何が一番大きかったかと聞かれれば〝情〟だ。

受け身でしかない恋愛だったと思う。
そして、いいようにされすぎていたとも思う。

そういう経緯を話し、だから今度こそそのループに入らないうちに自分から好きな人を作りたいんだと説明すると、課長は呆れた顔をしてため息を落とした。

「そんだけダメな男しか寄ってこないって、おまえ、変なオーラ出てんだろうなぁ」
「だからそのオーラを消すためにも、ちょっと強引にでも誰かまともな人を好きになってループ脱出したいんです。
せめて、周りにダメンズ扱いされない人と」

「だから志田か? でも、志田がいいヤツそうっていうのは、あくまでも俺の意見であって責任は……」
「大丈夫ですよ。桐崎課長がそう言うなら。……ああ、言ってなかったですけど、志田さん、社内で二番人気らしいです」

よく社内の女子トイレで、知らない女性社員がしている噂話。
本当か嘘かはわからないけれど、志田さんは人気があるけど二番手だ。

そして、志田さんを押さえての一位はというと……。

「へぇ。まぁ妥当だな」
「一番人気が誰だか知りたいですか?」

にこっと作った笑みが意味深だったのか、課長は私の表情から何か感じ取ったようで。
口の端をあげてからコーヒーを口に運ぶ。

「妥当だな」

自分が一番人気だと知っての言葉がコレなのは、ちょっとどうかと思いつつ。
今までの会話から頭に浮かんでいた、〝あれ若干この人ナルシストかな?〟という疑問に確信を持ちつつ。

「まぁ……あれです。妥当かどうかの判断はお任せしますけど。
とにかく、一番人気の桐崎課長がいいって言うなら私はその言葉を信じます」

笑顔で「明日から全力で狙っていきます」と、同じ課の直属の上司に宣言した私に、桐崎課長は「じゃあ、まぁ頑張れよ」と答えた後。

「今日のこれ、そもそもなんだっけ」

呆れたようにそう呟いたのだった。



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