俺様上司と身代わり恋愛!?


「前から言おうと思ってたけど、思わせぶりな態度はやめろ」

「え……」と無意識にもらすと、課長が後ろ頭を触りながら言う。

「〝話せるようになって嬉しい〟だとか〝嫌わないでほしい〟だとか。そういうのを、なんか意味のありそうな顔して言うのはよせ」

『でも私は、課長が上手い嘘思いつかなくてよかったです。おかげでこうして課長と話せるようになったし、嬉しいです』
『私の事、嫌わないでください……』

たしかに、言った覚えはあった。
意味のありそうな顔をしていたかは自分ではわからないけど……でも、あれは嘘じゃない。

課長と話せるようになって嬉しいと感じたことも、嫌いにならないでって思ったのも、本心だ。
それを伝えようとして口を開くと、私より先に課長が言った。

「その気になってもいいなら話も別だけど」

見つめながら言われた言葉に……尚も真面目なままの声に。
自然と言葉が口をついていた。

「なってもいいです」

じっと見つめる先で、課長の顔に驚きが広がる。

それでも目をそらさずにいると、課長も黙ったまま私を見つめ返し……そして「本気で言ってるなら、車に乗れ。場所移す」と言った。



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