恋することを知った恋

図書室と潤む瞳




無い、無い、どこにもない…。

それからあたしは一生懸命ピアスを探したけれど、本当にどこにも見当たらなかった。

スマートフォンを確認しても、来ることのない連絡。

もしかしてもうみんな諦めてしまって、誰も探してなかったりして。

あたしは徐々に沈んでいく気持ちを引きずりながら、それでも渡り廊下を探し始める。

新しいピアスじゃ嫌で、あれがあたしのものだったから。

何が何でも絶対に探してやるって意気込んだあたしだったけど、さすがにもう諦めかけている。

< 194 / 400 >

この作品をシェア

pagetop