恋することを知った恋

そんな後輩の話にも嫌な顔一つせず聞いてくれる黒瀬先輩と湧太先輩は、なお一層素敵に見えた。

「お前また犬の話かよ」

湧太先輩は笑って、麻奈美の話にツッコミを入れる。

最初はためらいがちだったあたしも、気がつけばこの空間にいることが楽しくなっていて。

あたしは向かい側の席で麻奈美と湧太先輩が話している会話を聞いて、頷いたり少し反応してみたりしながらこの空間に参加していた。

黒瀬先輩は柔らかい表情でずっと微笑んでいて、自分から積極的に話をすると言うよりは2人の話を聞いている。

どっちかというと聞き上手な人だと思った。
< 246 / 400 >

この作品をシェア

pagetop