恋することを知った恋
「颯斗、杏里ちゃんのこと嫌いだって言ってたし」
――何を言われてもあたしは目をそらさない。
テーブルの下で握った手が、少しづつ震えだす。
鈴乃さんはピンク色が可愛いフレンチネイルをしていて、その指先で長いポニーテールをくすぐっている。
細くて長い指。
きっと何度も、黒瀬先輩と繋いだ手。
分かってる、だからいちいち気にしなくていい。
「正直うざいかな~、みたいなっ」
鈴乃さんは黒く笑って、何が可笑しいのか両手を合わせてひとりで盛り上がる。