追いかけっこが、終わるまで。
春樹と付き合い始めたのは、高校の終わり。告白されたのはもっと前だった。

受験もあるし進路も違うし付き合えないと断った私を、静かにずっと想い続けてくれた春樹。卒業目前にもう一度告白された時は断り切れなかった。



短大途中から一人暮らしを始めた私を心配して、夜遊びで遅くなるとどこへでも迎えに来て、うちに泊まっていった。

束縛系だとか、リサに逃げられないように必死だとか、周りにワイワイ言われてたけど、私に遊びに行くなとかああしてこうしてとか、一度も言わない優しい人だった。

自由にしてるリサが好きなんだと、いつも言ってくれたのに、そして私の好きにいつもさせてくれたのに、いつの間にか私は息苦しさを感じるようになってしまった。



春樹はどうしたいの?

春樹は何がしたいの?

就活で苦しんでいた彼に、私はそれまでの疑問をぶつけてしまった。

ずっと優しかった彼が一番支えを必要としていた時に、私は彼を傷つけて、しかも傷つけている自分に耐えられずに逃げた。



最低だ。



春樹の就職先を、私は結局共通の友人から聞いた。

割と大手の人気企業のようだったから、正直に言えば驚いた。

苦手にしていた自己アピールや志望動機も、きっとあれからちゃんと考えたんだろう。私のために気を遣ってばかりいなければ自分のことがわかるんだ。



私と一緒にいなければきっと、彼は自分を出せる人なんだ。


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