廃想集 『カワセミ啼話』
 
壁の薄い 僕のアパートは

君が此処を去る

靴音さえも響かせて

君が呑み込んだ言葉よりも

僕を責めたてる



僕が 君にしてあげられることなんて

これっぽっちも

足しにならないね




一時の快楽だけで繋がる僕らの明日すら

紡ぐセリフも見つからないのに




「またね」なんて

たった三文字の約束なんて

幼い頃の指切りよりも

当てにならないよ

振り返ることもしないのに


すがりつく

僕の心だけが

フワフワと浮かぶ

この部屋で


嘘で湿った 僕のシーツに

沈み込む 真夜中に

微かな 君のぬくもり探して

くるまった毛布すら

冷たく 僕をあしらうようで




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