悪魔なCEOとワガママお嬢様
悪魔との出会い
「はぁ…」

何度目か分からない溜息をつき窓の外に目をやる

小さな窓から見えるのは遥か彼方まで続く白い雲だけ

ただぼんやりその光景を眺めていると機内アナウンスが流れた

『皆様本日は当機にご搭乗下さいまして誠にありがとうございます』

(英語でのアナウンス…発音がイマイチね)

『当機はJAPS971便,ロサンゼルス発,東京行きで御座います』

(東京……日本に帰るのは何年ぶりかしら…小学校を卒業してすぐ渡米したから…6年振り…?)




今から20年前ー
大手家具メーカーcharlo〈シャルロ〉が事業を拡大すべくロサンゼルスを基盤とし活動していた時に、代表を務める父とカフェテリアで働いていたアメリカ人の母が出会い1年後に結婚、更にその1年後に私が誕生した。



私が6歳になった頃、charlo海外事業部が安定した収益をあげるまでに成長した事もあり私達家族は父の母国,日本へと渡った。

「はぁ…」

日本の小学校に入学したけれど全くと言っていい程まわりに馴染めなかった。日本語で苦労した訳ではないが、私には日本の空気は合わなかったようだ。

アメリカに帰りたいと毎日の様に泣いて喚いて暴れる私に
ほとほと困り果てた両親は小学校を卒業したら…という条件付きで渡米の許可を出した。

卒業式の日ー
両親との別れもそこそこに私は母方の祖父母を頼りに単身アメリカへ渡った。

『当機はまもなく東京国際空港へと到着致します』

日本に近づくにつれて気持ちが沈んでいく…。

そもそも今回の帰国もあまり…いや、全然乗り気じゃない。

アメリカのハイスクールを卒業した事を日本に居る両親に電話で報告した時に何年も会っていないのだから1度日本に帰って来なさいと言われ、後日私宛に両親から日本行きの航空券が届いたのだった。


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