未熟女でも大人になっていいですか?
あの人のようだ…
週の明けた月曜日、音無さんは私の話を聞きたがった。


「相手のご両親に会ったんでしょう?どうだった?」


期待に満ちた目を向けられる。


「どうもこうも最悪だった。お父さんと彼が言い争いになって」


辛うじてお母さんにだけは挨拶させて帰った。

でも、お父さんとは今もギクシャクしている。


「親子とは言っても、どうにも上手くいかない相手っているからね」


思い当たるフシがあるらしい。

音無さんの言葉を聞いて、「そうなの?」と疑問をぶつけた。


「性格似てると相手の考えてることが読めて嫌になることない?私は母とそんな感じだから、お互いあまり話しかけたりしないの」


「へ、へぇー意外…」


今まで聞いたことがない話だった。

そう言えば、音無さんはいつも私と母の会話を聞いて「楽しそうでいいな」と笑っていたっけ。



「それで?式のことはどうなったの?」


初めての時と同じように聞き返された。


「成り行き上、来月にはしようかってことになったけど……」


喪中の身だから披露宴とかは行えない。

身内だけを呼んで、こじんまりしようと考えた。


「私を呼んでよ」


「音無さんは親戚じゃない」


「それでも呼んで欲しい!仙道さんの花嫁姿が見たい!」


「あ、それなんだけどね…」


白無垢とか紋付袴はナシにしようと決めた。

取り敢えず「人前で入籍をするだけならいい」と、住職からも言われた。


< 129 / 208 >

この作品をシェア

pagetop