未熟女でも大人になっていいですか?
傷を抉るな
オドオドしながら扉を開けると、3人組の男女は嬉しそうに微笑んだ。


「先生、ご無沙汰しております」


真ん中に立つ眼鏡をかけた男性が一番最初にお辞儀する。

その様子を眺めながら誰だか思い出せずに戸惑った。


「フジちゃん、あたしらのこと忘れちゃってるみたい」


右側に立つボブスタイルの女性が笑う。


「10年ぶりじゃ無理もねぇよ」


左側に立つ背の高い男性が声をかける。


「自己紹介しよう。先生、僕は立石 輝(たていし あきら)です」


(立石 輝……)


同窓会の案内状の文字を思い出した。


「あたしはゆづる。上谷 結弦(かみや ゆづる)」


あの事件の後受け持ったクラスで、副代表をしていた子だ。


「俺の名前は覚えてるだろ?琴吹 奏也(ことぶき そうや)」


副顧問を任されていた部活で、部長をしていた子。


まじまじと彼等の顔を見つめた。

大人の面差しの中にいくらか昔の面影が残っている。




「………さ、3人とも…どうしてここに……?」


ようやく声が出せた。

問いかけながら少しだけ動悸がしてくる。


「この間送った案内状が欠席だったから直接参加を呼びかけに来たんです」



「えっ……」


ビクッと身構える。


「なーんてウッソ!ホントはフジちゃんに会いに来ただけ!」


「俺たち同窓会の幹事で、欠席者全員の写真を撮ろうと回ってるところなんです」


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