未熟女でも大人になっていいですか?
どっちがいいか?
港の景色が一望できるホテルの室内で、私はほぅ…と深い息を吐いた。



「カツラぁ」


「何?」


振り向くと意味深な笑みを浮かべた高島がいる。


「どっちがいいと思う?」


「な、何が?」


ドキッとする質問に胸が弾む。


「コーヒーと煎茶、どっちが飲みたい?」


ティーパックを揺らしながら聞き直す。


「ど…どっちでもい……あっ、やっぱり煎茶でお願い」


「オッケー」


部屋に着くなりこの質問はナシにして欲しい。

ただでさえ胸が弾けそうなのに、心臓に悪いったらありはしない。


手際良くカップに湯を注ぐ仕草を見つめる。

この男が家事全般を器用にこなす理由が、今日ようやく分かった。


富沢さんの元で仕事をしていた頃、2人で家事を分担してやっていたのだと教わった。

「料理も片付けも早くて感心していた」と、富沢さんは高島のことを褒めちぎった。

それを聞きつつ、つまらなそうな顔をしていたのは金髪の彼。


何の理由があって富沢さんの元で仕事しているのは知らない。

でも、あの彼もきっと、いずれは成長していくんだ。



「入ったぞぉ」


「うん、ありがとう」



お礼を言いながら、ホテルの駐車場に着いた時のことを思い出した。




「カツラに運転してもらったお陰で疲れが取れて助かった」


スッキリとした顔つきで高島からお礼を言われた。


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