ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
「外見、悪くないんだから、いい人みつかると思う。まずはちゃんとリサーチしなよ。好きな人について」

「う、うん」

上から目線で話されても。しかし、どういうアドバイスだよ。

「幸せになんなよ。じゃね」

といって、スマホをポケットから取り出し、きっと本命であろう彼女に連絡をしながら男は来た道を戻っていった。

2月の夜の強く冷たい風を全身に浴びる。

苛立った心を冷ましてくれるいい機会だと思いながら、自宅マンションへと向かう。

真っ暗な部屋に戻って暖房もつけないまま、ベッドの中へと潜り込む。

わたしだって恋がしたいよ。

どうしてわかってくれないの。

毎回のことだってわかっているから、失恋しても涙は出なくなった。

このまま恋愛できないまま、年を重ねたくない。

ただそれだけなのに。

仲のいい同級生は早い子だったら結婚しているし、別の子は彼氏がいるし。

みんな恋愛に不器用なわたしを心配してくれた。

友人のひとりがわたしを心配してくれて開いてくれた合コンだったのに。

友人も喜んで、これだったらいいところまでいっちゃうんじゃないの、って応援してくれたのに。

わたしは恋愛をするなってこと?

異性とは友達のまんまで、恋する人はみんな別の女のもとへと送り出す役割の人間だっていうの?

どうしたらわたしに恋愛の女神が微笑んでくれるんだろう。
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