イジワル上司に焦らされてます
  





「ハァ……。もう、何やってるんだろう」



週明けの月曜日。オフィスのあるビルの1階エレベーターホールで溜め息を零せば、心に憂鬱の塊が落ちてきた。

その原因も、久しぶりに呑んで帰った先週の金曜日の夜の出来事のせい。


『……おい、起きろ、酔っぱらい』


散々呑んだくれて財布をオフィスに取りに戻り、終電に乗りそこねたところを出張帰りで疲れている上司に送ってもらうことになった、私。

改めて状況を並べただけでも十分大失態なのに、私は送り届けてもらう途中から完全に記憶を失った。

ううん、記憶を失ったといえば、まだ聞こえはいいけれど……つまるところ、" 寝た " のだ。

それも、不破さんと車内でキスをして、後続の車にクラクションを鳴らされ、頭を抱えた直後に。

最初に設定した私の家の住所へとナビが導いてくれる声を聞きながら、窓の外を眺めていたはずなのに……途中からプッツリと記憶が途絶えた。

次に目を開けた時には自分が住むマンションの前に着いていて、逆に夢でも見ているのかと思ったくらい。

慌てて身体を起こせば、呆れたような顔をした不破さんと目が合って、背中に冷や汗が流れた。

 
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