イジワル上司に焦らされてます
 






「え、結婚!?」

『うん。蘭には、直接報告したかったんだけど……』



それは嬉しくもあり、それでいて寂しくもある報告だった。



 * * *



「とりあえず写真はアタリで、ざっとデザイン組んでみたからチェックしてもらえる?」



金曜日のオフィス。

向かいの席に座るサルさんから送られてきたURLをクリックすれば、画面にはパリスグリーンが広がった。



「わ……もう出来たんですか!?ありがとうございます!」


「いやいや、とりあえず組むだけ組んでみた感じ。ここから、更に細かく詰めていくから」



サルさんの言う通り、写真もまだアタリ(仮のもの)で、完成とは言えないけれど、今、私のPC画面にはサルさんが作ったカフェのサイトが表示されている。


そのシンプルかつオシャレな仕上がりに、思わず胸が踊ってしまうのは、きっと私だけではないだろう。



「それにしても速すぎます。この間、辰野さんも、サルさん仕事速過ぎでしょうって驚いてました」


「ハハッ。それを言うなら辰野さんこそ。カフェのネームからロゴデザインまで、上に承認とるの速過ぎでしょ。お陰で、こっちもかなりのプレッシャー受けて、急ぎでデザイン上げさせてもらったよ」



言いながら朗らかに笑うサルさんだけど、言葉の通り、ここ数日は毎日遅くまで残ってカフェのサイトデザインに尽力してくれていた。


サイトに関しては大まかなデザインのチェックは最初にさせてもらったけれど、細かい部分は当初の打ち合わせ通り、サルさんと辰野さんが直接やり取りをしてくれている。


WEBに関しては中途半端な知識しかない私が間に入るより、専門的な知識のあるサルさんが動いた方が無駄がないからだ。


 
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