私は人魚
ふわふわと、海を漂う。

いつの間にか夢の中に入ってしまったみたい。

ゆらゆらと揺れ動く海草の間を、艶めく鱗が通りぬける。

小魚が頬をくすぐりながら、泳いでいく。

私は今、小さな小さな魚になっている。

小さな体ではたくさんたくさん泳いでも、海草の森を抜けられない。

へとへとになりながら、海草の森を抜け出した。


やっと出られた。

疲れたなぁ。

お腹、すいたなあ…。


ふと、目の前に美味しそうなご飯が″降りてきた″

ぷるぷると動く、新鮮なそれ。

キラリと鈍く光る何かに刺さっていて、逃げられないみたい。

鈍く光る何か…に、少し迷ったけれど、抑えきれない食欲が思考をストップさせる。


ロを目一杯開けて、ご飯を食べようとすると…


「だめよ」


強い口調で引き止められた。


早く起きなさい。
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