ラブ アゲイン
濱田は菜々の『初めての男』だった。

告白されたのも、付き合う事も、キスもセックスも、全てが最初の人だった。


濱田と同じ大学に通いたくて必死に勉強して、努力は実った。

濱田と離れたくない、そんな不純な理由ではあったけど、本気で入りたかった会社から不採用の通知が届いた時は、動機を見透かされた様で、恥ずかしく思った。


「仕方ない、あそこはまだ男尊女卑的な考えが少なからず残ってるから」

濱田はそう言って菜々を励ました。


しかし、何十社受けても、内定は貰えなかった。


早い時期に内定を貰った濱田、未だに貰えない菜々。

焦りと絶望感から、菜々は些細な事で濱田に突っかかる事が増えていった。

一方的に癇癪を起こし、デートの途中帰った事も多々あった。

それでも濱田は菜々を励まし続けた。


しかし、そんな濱田の励ましを、菜々は歪んで受け止め始める。


最悪だったのは、卒業を間近に控えた2月のある日。


もう何通目かも分からなくなった不採用の通知。


「なぁ、菜々、そんなに無理して就職しなくても良くない?
どうせ2〜3年で寿退社する腰掛けだろ?
だったらいいじゃん、しなくても」

濱田のその一言に菜々はブチ切れた。

濱田の部屋を飛び出し、一切の連絡を無視した。


許せなかった。
女は腰掛け程度の仕事しかしない、出来ない。
菜々は、そう濱田が思っている事が悲しかったし許せなかった。

バカにして!
所詮女は男には敵わない、そう思ってると思うだけで腹が立った。


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