ラブ アゲイン
「俺は、……菜々が悩んでた事知ってたし、でも苦しんでる姿見るのが辛かった。
また怒らせるかもしれないけど、就職はタイミングも関係してると俺は思う、今だってそう思ってる。
俺が今の会社に受かったのだって運もあったと思ってる「だから、しょうちゃ…」

菜々は濱田のその一言に、思わず体を離そうとしたが、それは濱田が許さない。

「とりあえず、黙って聞けって」

抱き締める腕に力を込める。

「巡り合わせってあると思うんだ。
ほら、就活が始まった頃、サークルの先輩の話、聞いたじゃん?
同期で残ってるの自分だけとか……
就職戦線勝ち残っといて、半年も待たずに辞めていくなんて、じゃ就職すんなって感じじゃん!って、えらくボヤいてただろ?」

キツく抱き締められながら、菜々は、そんな話もあったなと思い返した。

「今迄俺は会社を辞めようと思った事は一度もない。菜々はどう?辞めたいって思った事ある?」

濱田の問いに首を左右に振って答える。

「菜々にはさ、社会に出るまでにちょっとした試練に神様が与えたんだよ」

試練?

「甘えたの菜々ちゃんが、これから先、やっていけるか、ってね」

思わず吹き出しそうになって、菜々は口元に力を入れる。

「……俺には菜々の居ない6年っていう試練…」

思わず濱田を見上げた。




< 34 / 41 >

この作品をシェア

pagetop