エリート上司と偽りの恋
エピローグ

ーー五ヶ月後。



「桐原さん、そっちどう?」

「えーっと、大丈夫です。多分」

多分って……。

「とりあえず資料はお願い。出来るよね?」

「はい、任せて下さい!」


今日は営業部のイベントが行われる日。桐原さんの口調は相変わらずだけど、ミスも徐々に減ってきているし、なにより仕事に対する姿勢が少しずつ変わってきている。


桐原さんと言えば先月、彼女の発言にかなり驚かされたんだった。


ーー


彼女は晴輝を好きだから、付き合っていることを言わなきゃと思いながらも、私はなかなか言えずにいた。


『あのさ……主任のことなんだけど』

『え?主任?もー超かっこいいですよねー。あんな人が彼氏だったらな~』

……益々言いずらい。


『っていうか私の彼氏なんて、主任と全然違いますよー』


『……え?か、彼氏?』


『はい、彼氏いるって言ってませんでしたっけ?』

『だ、だって主任主任言ってるから、私てっきり』

『そりゃそうですよー。仕事場にひとりでもときめく相手を見つけなきゃ、やる気でないじゃないですかー』


そういうことだったんだ……。


その後桐原さんに晴輝とのことを話すと、飛び上がって驚いていた桐原さん。
でも『おめでとうございます』という彼女の言葉が、本当に嬉しかった。



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