やまのさいばん
なにも みえないのに、ちかくの やぶが

がさこそ かってに ゆれました。

こころは こわくなって かけだしました。

いばらが あしを ひっかいて、

しなしなした ちいさな きの えだが、

ほっぺたを ぶちました。やぶの しげみが

すかーとを ひっぱりました。

それでも かたわずに こころは はしりました。

でも あおい みずうみは、どこからも

みえませんでした。それどころか、こころが

くたびれて すわりこんだ ところは、

さっき あかい きのみを とった

しげみの まえでした。

はやしの なかを ぐるぐるめぐりして、

もとに もどって しまったのです。


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