恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
私が頷くのを確認すると、愛華先輩は踵を返した。

「じゃあ……付き合って」

「はい……」

校舎に沿って北に歩くと、やがて愛華先輩は非常階段の脇で足を止めた。

その先に駐輪所があるために生徒がひっきりなしに通るけど、大抵自転車に乗っているせいで、話をじっくり聞かれることはない。

愛華先輩は、コンクリートの壁にもたれて私を見た。

「あなたなんでしょ?」

今まさに愛華先輩は、こう尋ねているのだ。

『雪野先輩に抱き締められて、愛してると言われたのはあなただったんでしょう?』って。

もうダメだ。

先輩の瞳が、真正面から私を捉える。
< 141 / 305 >

この作品をシェア

pagetop