恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「俺達を……罰しないのか」

「罰する理由がない」

言い終えた俺は、瀬里を抱いたまま祠の前まで歩き、そこに彼女を横たえた。

瀬里、今助けてやるからな。

俺には凰狼の毒の血清は作れない。

だが、毒を吸い取ることは出来る。

暫くは苦しむことにはなるだろうが、俺が毒で死ぬことはない。

「瀬里、眼を開けろ」

俺は瀬里にそう話しかけて、彼女に口付けた。

深く口付けて、俺は瀬里の体内の毒を探した。

なのに……。

フッと、凰狼が息だけで笑った。
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