星月夜

 空に向けていた顔をこちらに向け、秀星はためらうように言った。

「……大丈夫だから」

「え?」

 あの頃にはなかった会話に、ドキッとした。

「月海がいるだけで美羽は心強いと思う。この先何があっても」

「……そうかな。結局私、何もできそうにない」

「それはあまり重要じゃないよ。こうやって動いたことが尊い」

「……別れるのかな、美羽達」

「月海のせいじゃない」

「……」

「もし俺が美羽だったら、絶対嬉しい。友達が自分のためにここまでしてくれるなんて」

 過去が、少し変わってる……?

 仲の良さは同じ感じに思えたけど、今の私達は過去以上に深い会話をしている、そんな気がした。


 その後いつもの駅で降りると、秀星に誘われてお好み焼きを食べに行くことになった。過去にも何度か一緒にご飯を食べたことがあったけど、お好み焼き屋にそろって行くのはこれが初めて。

 カウンター席に並んで座る。店内はお世辞にも綺麗とは言えなかったけど、昔ながらの奥行きがあり不思議と落ち着けた。

「レッスンの後、たまに夕食代わりに寄るんだ」

「そうだったんだ……」

「知輝とはたまに来るんだけど、女子とは初めて」

 そう言い秀星ははにかんだ。純粋な瞳に見つめられ、照れた。ドキドキしてしまう。
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