御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 突然、雪成がそう口にした。きっと会議でたった今決まったのだろう。


「長いんですね」
「ああ。山邑リゾートの件でな。視察に行くことになった」
「かしこまりました」


 美月はこくりとうなずいて、頭の中で副社長のスケジュールを確認する。


(山邑リゾートが手がけてるホテルの寝具って、全部KOTAKAオリジナルなんだよね。超高級リゾート向けだから、当然単価は高い大口顧客だし、営業本部長である副社長が行くのは当然ね。)


「いくつか会食の予定が入っていましたが、すべてキャンセルですね。関係各所に連絡をしておきます」
「ああ、頼む」


 そして雪成はタバコの煙をゆっくりと吐き出し、耳を疑うような言葉を吐いた。


「ちなみにお前も連れて行く」
「えっ!?」
「行き先は徳島の鳴門だ。お前の出身地だな」
「えっ、あの、その……」


 雪成の言葉に美月の頭は真っ白になった。


(連れていく? 今、連れていくって言った!?)


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