【短編】秋空恋物語


しかも、彼の子供は一人ではなく

なんと、男、女、男の三つ子。


花村先生が差し出した紙には、花村先生と、三人の子供の絵が描かれていた。


「沙世が描いてくれたんです」

沙世というのは、三つ子の長女。

その上に、長男、市太くん
次男、双馬くんがいる。


「あーぁ。今日は早めに帰れそうにないなぁ」

「あ、わたしもです」

「一緒ですね」


わたしたちは一緒に採点をした。


二人でやると、終わるのは早かった。

「思ったより早く帰れますね」


そう言いながら、窓の外を見ると

真っ赤な夕焼けが窓越しに広がっていた。


「キレイ!!」

わたしは飛び付くように窓を開けた。


「秋特有ですよね。この空は」

「そうですね…」


秋の空を見ると、人は誰しも切なさを覚える。


誰かが言っていたけれど

確かにそうだ。


ずっとこの空を見ていると

切なくなってくる。


それは、この空のせいなのか
花村先生が隣にいるからなのか。


「……せんせ…」

ふと、花村先生を見ると

夕日に照らされているからなのか
先生の頬は赤く染まっていた。


< 2 / 15 >

この作品をシェア

pagetop