初恋、でした。
その口調は、僕をなだめるかのようだった。


咄嗟に言葉が出てこない。


朝日奈 悠は、
普段見せないような穏やかな表情で、


「愛されたい一心で、寒い冬をひとり、耐えて。春になったら、また美しい花を咲かせる」


僕を、ただ真っ直ぐ見つめる。


「そんなの、哀れなだけじゃないか」


情けないくらいに震えた声。


「誰にも気づいてもらえない。ここにいるって言っても、どんなに呼びかけても、答えてさえくれない、でも、信じることしかできない、それのどこが!もうっ、哀れ以外のなにものでもないだろっ、」
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