番外編 『N』ー甘味で候うー
「コーヒーと一緒に。」
六車がコーヒーと一緒に出してくれたのは、
ほわほわしたシフォンにクリームが載って、ジャムが添えられているケーキだった。


俺は甘い物は苦手だ。
いや、むしろ、
「、、好きじゃない。」くらいだ。

「そうなんですか?」
「少し、食べ飽きてるんでしょうね。」
六車の同情するような声に三田は何か得たようだった。

昔は多少食べもしたが、
仕事の役柄、学生と関わることが多くなり、甘い物を頻繁に食べることになった。
そして甘いものは嫌いになっていた。


「コレ?あの子が作ったってやつ。」
「あ、郷太から聞いてましたか?」
「美味しかったですよ。」

「本人からも聞いたよ。護衛してる俺を呼んで、食べろって。」
「じゃ、今、護衛は?」
「心配ない。一花に引き継いだから。」

「それなら心置きなく食べてて大丈夫ですね。」
そういう三田を横目に見た。
「俺は甘い物は、、」

「それが意外にですねーー、

まぁ、ひと口。駄目なら私がもらってもいいですから。」
にっこりと笑って見せた。


『三田の笑顔なんて、見たことあったっけ?』

< 23 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop