空の青はどこまでも蒼く
5
頭痛で目が覚めた。
昨日、山野君と浴びる程カクテルを飲んだところまでは覚えている。
その後どうやってここまで帰り着いたんだろう?


痛い頭を抱えながら、身体を起こす。
と、腰に重みを感じた。


「えっ?」


私の腰には逞しい腕が乗っていた。


「えっ!!!!!」


ガバッと身体を起こし、自身の身体を確認する。
良かった・・・昨日のままだ。


小さな私のベッドに、綺麗な顔の山野君がスースーと寝息を立ててYシャツ姿で寝ていた。


「ん・・・んん・・・・」


山野君が身じろぐ。


「あ、石田さん、おはようございます。」
「おはようございます、じゃないわよ。どうして山野君までここで寝てるの?」


寝起きの顔も綺麗だな、なんて思いながらも、彼を叱責する。


「やだなぁ、石田さん。覚えてないんですか?ここまで送って来て、ベッドに寝かしたら、『帰らないで』って、俺の手引いたの、石田さんですよ。」
「えっ!!!嘘言わないでよ。」
「嘘じゃないですよ。俺の腕掴んで離さないんで、一緒に寝かして貰いました。」


あー、私は何をやってるんだろう。
いくら酒に酔ってたとは言え、後輩を連れ込むとは情けない。


「ごめん・・・・・よく覚えてない・・・・」
「別に良いですよ。見ての通り、何もなかったですしね。」


そう言って山野君は立ち上がり、「ラバトリーは何処ですか?」と振り向いた。


「ラバトリーってお洒落な言い方ね。」


私がそう言えば、山野君はクスリと笑い、


「石田さん、帰国子女なんでしょ?」
「え?どうして知ってるの?」
「知ってちゃいけないですか?帰国子女の石田さんに合わせてラバトリーって言ったまでです。で、洗面所は何処ですか?」


『寝室を出て左』と言えば、山野君はそのまま寝室を出て行った。


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