永すぎた春に終止符を
「勝手にしろ」

拓海は、そう言って出て行った。
イラついて、梨沙に腹を立てて。


勝手にしろって…
好きなようにしていいってことだよね。



パタンと閉まったドア。

閉ざされた空間。
急に静かになって、広く感じる部屋。


もう…ドアが開くことないのかなと思うと、苦しくなる。追いかけて行って梨沙が悪かったって謝れば、拓海はきっと許してくれる。

でも、それじゃ、何も変わらない。多分、ここで私が折れれば、また、楽しい1年が送れる。それじゃ意味がないのだ。
来年の今頃、また同じ議論になるだけだから。



どうしよう…拓海怒っただろうな。

本当に一人になっちゃった。
今まで何でも2人で考えて決めてたのに。

それで、大丈夫なの?
嫌だ…自信無いよ…
みんな彼に頼ってきたのに。

お皿1枚買うのだって、拓海との将来をを考える。洋服1枚決めるのだって…拓海に意見を聞く。
やっぱり、ダメ…出来ない。


不安だなんていって、拓海に謝って戻って来てもらうの?

それじゃ…意味がないって、一年考えたよね…


どれだけ考えても結論が出ない。

それでも、朝はやって来て、
仕事に行かなきゃ行けない時間も、迫ってくる。
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