継恋
私達は、周りの人達と同じ様に歩く足を止め、何発も打ち上げられる花火をみていた。
手は強く握られたままだ。
暫くして、花火の打ち上げのインターバルに入ったのを確認すると、私達はまた人混みの中歩き始めた。
周りを見ると、お面屋さんに、射的屋さん、型抜き屋さんに私の心を奪う魅力的なモノがあちらこちらにある。
私の瞳のキラキラに気づいた継人さんは、いつもの様に呆れ顏だ。
そして、あまりの美しさを醸し出す店の前で私は立ち止まった。
綺麗な、紅色に染められて、ハロゲンの光にテカテカと照らされ映るそれは、なんとも美しく美味しそうだ?
「はぁ~っ。本当、食いしん坊だな。おいちゃん、これ一本頂戴。」
継人さんは、ポケットに手を突っ込み、小銭を渡すとそれをおいちゃん?から受け取り私の目の前に差し出す。
「有難う。」
私は、嬉しさのあまり今にでも継人さんに抱きつきたかったが、その感情を隠す様に、少し無愛想に林檎飴を受け取った。
「いえいえ。」
林檎飴をペロりと舐める私を優しく見つめる。
そして、私の持っていた林檎飴を取り上げ、ペロりと舐めたのだ!!
これは、世に言う間接キッス!!
しかも、大衆の面前で。
恥ずかしくなり、慌てて継人さんから林檎飴を取り返し、手を離してテクテクと歩く。
けど、直ぐに捕獲されてしまった。
恥ずかしすぎて顔を見れない。
「なんだよ。急にどうした?」
不思議そうに私の顔を覗き込む。
「ほら、急に取り上げるから、手に蜜が着いてるぞ。」
継人さんは、私の右手を掴み、自分の唇でその蜜を拭う。
あまりにも積極的な継人さんに翻弄されて、私の脳は停止した。
「もう、また子供扱いして。」
自分の口から、意図せぬ台詞が出た。
「そんなすねんなよ。」
「 別に拗ねてません。寧ろ嬉しいよ。」
「えっ?」
「別に恥ずかしくて逃げたんじょないよ。チョット試しただけだよ。」
「試す?」
「ほら。」
私は、繋がれた左手を上げた。
「さっき言ったじゃん。私の手を離さないって。」
継人さんは照れているのか、左手で頭をかいている。
「本当お前って、何考えてるか解らないな。」
「そう?なら、そんな私が迷子にならない様にちゃんとまた、私の手をしっかり繋いでね。」
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