継恋
僕の悩みの種の名前は、黒川継人。
見た目は、その辺のモデルや役者よりも格好良くて爽やかだが、本性は悪魔みたいな奴だ。
まず継人は、頭が良い。学生時代は全国模試で3位に入ってたし、 中学生の時ぐらいにはT大に入学出来るぐらい勉強が出来た。
それ+悪知恵が働くからやっかいだ。
僕も含めて数々の被害者があいつに泣かされてきた。
次に昔からそんな継人は、女にモテる。
しかも本人は、女性にだらしないから余計質が悪い…
何度要らぬ修羅場に巻き込まれた事か。
最近もある女性が泣きながら継人の居場所を知る為に僕に電話をかけてきた。
翌々考えると僕は何でこんな悪魔みたいな奴と友人でいるのか解らなくなる。
今だって僕の苦労も知らず涼しい顔している。
「どうした?じゃないし。看板作る業者からお店の名前どうするかって連絡入ってるんだから!」
悪魔に負けない様に強気に答えた。
継人は作業を止めて、奥のカウンターに座り
「店の名前なら決めたよ。」
と何食わぬ顔で答える。
「おっ?良かった。良かった。で名前何にしたの?」
悩みの種が解決したので安心して継人の隣に座った。
「misaki」
煙草に火を点けて懐かしい名前が継人の口からこぼれる。
「misakiってミサキ?」
意外な答えについあたふたした。
「そっ。」
口から煙草の煙を吐き出し答える継人は変わらず涼しい顔をしている。
「何で今更?どうした何かあったの?」
涼しい顔の継人とは逆に僕は明らかに動揺していた。
だってミサキって名前の継人が昔付き合っていた女性を知っていたから。
そしてその女性の名前は、別れてから数年経つが今まで継人の口から出た事が無いし。僕自身継人の前で彼女の話しをする事を禁じていた。
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