BattleLOVERS
2次元と境界線。

「母さんこいつ殴ってもいい?」

朝7時。
我が弟の孝太郎の胸ぐらを掴みながらそう問う。

「こらこら孝太郎今度は何やらかしたの」
愛用のピンクのふりふりエプロンを身に着けながら我が母、明美が孝太郎に聞いている。

「姉ちゃんが全然かまってくれないからグッズ隠しただけだよ!俺悪くない!」

ふん!と全く反省の色が無い弟。

「あらあ、拗ねてたのねあらあら青春だわ…」

「母さん絶対青春の使い方間違ってるから」
「あらそうだったかしらふふ」

この和やかな雰囲気に飲まれるほど今日の私は優しくない。

「早く出せ私のケンちゃんグッズ」
「え~、どしようかなあ」
「は、や、く、」
「姉ちゃん、いひゃいいひゃいってばあ」

弟自慢のツルツルほっぺをグイッと思いっきり引っ張れるだけ引っ張る。

「こらぁ二人共じゃれあってないで早くご飯食べなさぁーい」

母さん特有の猫声が聞こえるがここでご飯を食べたら孝太郎にケンちゃんグッズを隠されたまんまだ。

しかも今回隠されたのは数量限定様特定限定版のプロマイドである。夜中出待ちしてやっと手に入れたやつを諦めれるはずもない。私にとっては死ねと言われているようなものだ。

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