カタブツ上司に愛された結果報告書
どれくらいの時間、なにも話すことなく抱き合っていただろうか。
突然思い出したように、田中さんは話を切り出した。


「それと先ほどのお話ですが……」

「はい?」


前振りをすると、田中さんは私を抱きしめたまま話し出した。


「灯里さんが言っていた私が報われない相手を想っていたというお話ですが、それは真っ赤な嘘ですよ」

「え……嘘、ですか?」


「はい。そもそも私が代表にそのようなお話をすると思いますか? あの方に話したら最後、ここぞとばかりのそのネタで私を揺すってくることが、目に見えているというのに話すわけありません」

「でっ、でも灯里ちゃんが……っ」


そうだよ、灯里ちゃんが言っていた。


「ですから灯里さんに、一杯食わされたのですよ。……灯里さんも代表に似て少々お節介な一面もおありですから」

「くっ、食わされた……んですか?」

「はい」


そうだったの? でもどうして灯里ちゃんがそんな嘘を私についたの?
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