カタブツ上司に愛された結果報告書
「灯里～！　聞いてくれよ、田中が酷いんだ！　やっと今日千和とデートできると思っていたのに、仕事を入れやがって……！」


自ら灯里ちゃんの腕を掴み、涙目で訴える代表を必死に宥める灯里ちゃん。


その様子をいつものことながら見てしまっていると、去り際に田中さんが耳元で囁いた。

「今夜、空けといてください」と――。


耳を燻ぶる吐息交じりの声に、一瞬にして体温が上昇してしまう。

囁かれた耳元が熱い。

すぐに耳元を押さえてしまうと、田中さんは満足そうに微笑み足早にオフィスを出て行ってしまった。



皆さんはなにも分かっておりません。


田中さんは決してロボット人間なんかではありません。
普通の男性です。


嬉しいときは笑うし、さっきみたいにイジワルなことを言ってきたりする。


会社での彼からは想像もできないかもしれませんが、ときどき甘えてきたりするのです。
そこは至ってどこにでもいる男性です。


でもひとつだけ違うところがあります。


それは私にだけ見せる彼の姿。


会社ではロボット人間だけど、私の前でだけはどこにでもいるような世界で一番素敵な男性なんです。
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