カタブツ上司に愛された結果報告書
でも正直、田中さんの仕事が忙しくて助かったと思っている。

今彼とふたりっきりになれても、以前デートしたときのように田中さんと接する自信なんてなかったから。


モヤモヤした気持ちを抱えたまま会ったりしたら、うまく話せないし笑える自信ないもの。


そのおかげで今日もまたミスしてしまった。
真由子さんに確認してもらえていなかったら、明日大変なことになっているところだったよ。


あの日から小さなミスをしたり、仕事に集中できなくて上の空状態に陥ってばかり。
これじゃだめだと分かっているのに、仕事中にも考えてしまうのも田中さんのことばかりだった。


考えれば考えるほど彼の気持ちが分からなくなる。


それに気づかされていくの。


私、田中さんを好きって気持ちでいっぱいいっぱいで、彼と付き合えたことが嬉しくて浮かれっぱなしだったなって。


田中さんのこと尊敬しているし、彼の仕事の邪魔をしたくない。応援したいって思っていたけれど、それって結局逃げているだけじゃないのかなって思うの。


知る努力もせず大変だから、邪魔しちゃいけないからって気持ちのほうが勝ってしまい逃げていた。


本当に好きなら、もっとガツガツいかないとだめだよね。

知らないことには田中さんのこと理解できないし、付き合っている現実に満足しているだけで、それより先に進もうとしていない。
< 98 / 163 >

この作品をシェア

pagetop