それでも私は恋をする
 今、私はプカプカとプールの上を浮いている。勉強なしの別荘最高! 拓海の従兄弟達はどうやらみんな社会人になってるらしくて別荘に遊びに来る余裕がある人は誰もいないらしい。そんなの勿体無いと言って今年も拓海と二人で来た。やっぱりこの屋根あるのいいなあ。私は屋根の切れ間から見える夏の真っ青な空を見ながら気持ちいい風を受けている。最高!
「アリス! 宿題ちゃんと持ってきてるよな?」
「え? ああ。うん。でも、宿題のほとんどは資料ないとできないし」
 というのは言い訳です。ここでは勉強出来ないことを知ってる私は、宿題を持ってきてるがカバンの底に眠らせて置く気満々だった。
「資料はネットで調べられるだろ!」
「あー、ああ。そうだね」
 見るとノートパソコン持参の拓海の姿が。さっそく拓海はプールサイドのテーブルにパソコンをセッティングしてる。去年の遊び放題だった拓海はどこ行った?
「高瀬さんに料理頼んでるんだから、しっかり勉強しろよ。アリスのお父さんから念押しされてるんだから」
 高瀬さんというのはここの別荘の管理人兼シェフのあの管理人さん。って!!
「お父さん?」
 確かに付き合ってることも卒業してから話をして、拓海の家に入り浸ってる上に、ここの別荘にくることももちろん二人きりなことも父と母には話をしてある。私してみれば一年近くほぼ二人きりな上に去年、この別荘行きを押したのも父なんだからもう拓海のこと認めてるのかと思ったんだけど……拓海と話をしてるなんて……。
「ああ、時々話をする約束なんだけど、俺のことじゃなくて、アリスの話の方が多くて。アリスは卒業できるのか? って心配してたよ」
「え? 私の卒業の心配?」
 拓海とのことは気にしてないのか? どういう父なんだよ。というかまだまだ先なんだけど卒業。入学したばっかりなのに。
「そうだね。アリスは信用されてないもんな」
 拓海は信用されまくりだね。いろんな意味で。
「ああ!」
 ノートパソコンのセッティングが終わった、拓海はプールに向かってきてた。やっぱりそれする!?

 ザブン

「キヤー!」

 ザブン

 拓海がプールに飛び込んだ勢いで私も落ちた。プカプカから。
 またこれやるんだから。

 *

 花火大会の夜。
「どう?」
 今年は果歩にお願いして拓海に内緒で浴衣を果歩と買いに行った。果歩と悩みに悩んで買った浴衣を披露した。
 去年のようにプールで遊んでそこからお風呂へと。お風呂は別々に出てプールサイドに着替えて集合だった。拓海を少しはドキッとさせられたかな?
「う、うん。可愛い」
 暗いくってもわかる。拓海が照れてるって。それだけ長い時間を私と拓海は一緒にいた。
「あ!」

 ヒュー

 小さな光が夜空に上がって行く。
「はじまったね」

 ドーン

 パラパラパラ

 夜空に上がって行く光の筋が。そして、夜空には光の華が咲き誇る。

 私はチラッと隣にいる拓海を見る。拓海は今年は浴衣姿だった。ドキッとさせられたのは私のほうだった。花火の光に照らされた拓海を見る。拓海もこっちを見た。目があい、拓海の顔が近づいてきた。
 そっと触れる唇。
 また私は恋をする。

 空には大輪の光の華が咲き誇っている。私も拓海の胸の中にこんな風に咲き誇っているだろうか。
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