私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「俺はお前と浮気してたんだ」

「してませんよっ」
と言う小春の手を菅野は握ってくる。

「気持ちの上でだ」

 待て待て待て。
 班長っ、落ち着いて。

 とりあえず、みんなを整列させてっ、と心が小学校の集団下校に飛ぶくらい動揺する。

「彰人がお前を猫扱いしてるみたいに、俺もそんな感じで可愛がってるんだと思ってた」

 でも違った、と菅野は言う。

「俺はお前が好きなんだ。
 千鶴より」

 ……いや、勘弁してください、と握られている手を見る。

「彰人はそれに気づいていたから、俺に千鶴とよりを戻させようとしていたんだ」

「いや、あのー、班長が私を好きとか感じたこと、一度もないんですけど」

 彰人さんに騙されてませんか? と訴えてみたのだが、

「いや、お前は、千鶴ほど、女として、鋭くないからな」
と言ってくる。

 びみょーにディスられているんだが。

 この人、本当に私のこと好きなのか? とがっしりした菅野の手を見ていた。

 手錠のように、はまって抜け出せない強固さで、小春の手をつかんでいる。
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