幼馴染の愛情表現
「みんな、また明日。ばいばい。」

わたしが彼女たちに声をかけるとやっと息を吹き返したかのように我にかえり口々にさよならの言葉を言う。

わたしは彼と並んで学校を後にした。

さっきまで聞こえていた吹奏楽部の演奏が止んですっかり静まり返っている。

これを見ると、昼間の喧騒が夢のように感じてしまうのはわたしだけなのだろうか。

「アズサ…。」

スバルの甘い声に振り向くと手を握られて、触れるだけのキスをされた。

「突然どうしたの、スバル。」

「好き。」

「…。」

「アズサは…?」

不安げな顔をして手を握りしめるものだからあざといものだ。

「好きよ、スバル。」

こういうと彼はとても幸せそうに微笑むのだから言葉とは凄いものだと心底思う。
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