もっと聞かせて うっとり酔わせて
千葉はまったく予想外の言葉に

どういう理由で聞かれたのか頭の中で模索しながら

首を横に振った。

「一本もですか?」

「本数が関係あるのか?」

吸うか吸わないかで

本数まで聞いてくるとは

いったいどっちが重要なんだ?

「俺は吸わない。ゼロだ。」

「ありがとうございます。」

通勤中に電車が止まっているにも関わらず

瑠花の表情はまったくもって不可解だ。

「他に聞きたいことはない?」

「ありません。」

「じゃ、俺からいい?」

「はい。」

瑠花は千葉の声に夢中になりすぎて

今のこの状態と時と場所を忘れた。

「仕事が終わったら時間ないか?」

「今日ですか?」

「そう。こんな所でコソコソ話したくない。わかるだろ?」

瑠花は千葉の目を見た。

そしてコクッとうなずいた。

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