イレカワリ~番外編~
☆☆☆

毎日沙耶に会うために動き回っていた海とは違い、俺の体はなまりきっていた。


制服を着て鞄を下げて外へ出た瞬間、帰りたい衝動に駆られる。


学校ってこんなに面倒なものだったっけ?


そう思ってノロノロと自転車へ向かっていると、海が「なにトロトロしてんだよ」と声をかけて俺の横を通り過ぎて行った。


「あぁ……」


それでも俺の体はなかなか動いてくれず、自転車まで到着した時、海はすでに駐車場から出ていた。


今日は課題の提出と二学期の予定表を配られるだけで学校は終わる。


そう思い、自分を納得させるとようやく自転車をこぎ始めたのだった。
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