イレカワリ~番外編~
約束
それ以来、俺は好きな子を作らなくなった。


できるだけ目立たないようにうつむいてすごし、友達も多くは作らない。


海が俺の幸せを壊しに来るのが怖くて、いつの日か下を向いて過ごすことが当たり前になっていた。


海は大人しい俺を見て退屈に感じたのか、関係ない人間といれかわってはその財産を盗んだり、体を使って金を稼ぐと言う事を繰り返していた。


沙耶が死んで、海は変わった。


真面目に生きると言う事をやめてしまった海を、俺は何度も注意した。


その度に海は俺を見て唾を吐きかけ「黙れ」と一言だけ言う。


そんな生活になって、もう1年が過ぎようとしていた。


俺はまだ沙耶との約束を忘れてはいなかった。


守れているかどうかもわからなかったけれど、とにかくそれだけを支えとして海と接して来ていた。


「なぁ、今日お前の家行っていいか?」


純がそう聞いて来た。


「あぁ、いいよ」


俺は頷く。


純との関係はまだ続いていた。


純から見て、俺と海都の関係はどう見えるんだろうか?


聞いてみたいけれど、怖くてまだ聞く事ができなかった。
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