イレカワリ~番外編~
「あとさ、お前の好きな子も呼べよな」


そう言われて、俺は一瞬固まってしまった。


「歩にも好きな子ができたのか?」


「うそうそ、どんな子?」


両親が驚いてそう聞いてくる。


その表情は明るくて、好奇心にあふれている。


「いや、でも……」


「なんだよ、まだ隠す気か?」


海にそう言われて何も言えなくなってしまった。


今まで秘密にしていたことがいつの間にかバレていて、しかもここねを沙耶の誕生日パーティーに呼べと言われている。


ここねも行きたがっていた事だし、これはいい機械なのかもしれない。


でも……。


俺の中ではまだ踏ん切りがついていなかった。


沙耶はここねを見てどう感じるだろう?


ここねは沙耶を見てどう感じるだろう?


そして、海はここねを見てどう感じるだろう?


そう考えるとどうしてもいい返事ができなかった。


「相手に……聞いてみないと」


ここねの返事なんてわかりきったものだったけれど、今の俺にはそう返事をすることが精いっぱいだったのだった。
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