イレカワリ~番外編~
誘う‐歩side‐
海が沙耶への誕生日プレゼント決めて来たと聞いて、俺はため息を吐き出した。


どうせなら一緒にプレゼントを選びたかった。


「歩はどうだった?」


晩ご飯の準備を手伝っている時に海にそう聞かれて「え?」と、聞き返す。


手元では生姜焼きのいい香りがしてきている。


「好きな子を誘えたのか?」


テーブルに食器を並べている海にそう聞かれて、俺は返事に困ってしまった。


ここねのことは、まだ誘っていなかった。


自分の中で踏ん切りがつかないのだ。


このまま海とここねを会わさずにいられるなら、それがいいと思う。


だけど、2年に上がるころにはクラス替えもあるし、いつもまで隠し通せるわけじゃないと言う事も、わかっていた。


「おいおい、パーティーは2日後だぞ?」


「わかってるよ……」


「恥ずかしくて声もかけられないのか?」


「そうじゃないけど……」


口ごもりながら、海が用意してくれた更に生姜焼きをうつしていく。


「だったら頑張れよ」


海は冷やかすようにそう言った。


ここねを誘う事くらい、簡単だ。


ここねだって誕生日会に興味を持っていたんだから。


海はどうして俺がここねを誘う事ができないのか知らないから、そんな簡単に言えるんだ。
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